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基礎知識:祭祀とは
玉の価値は時代によっても変わるのでしょうが、使用方法、使用量から推察してみます。
祭祀とは
「祭祀」と言う言葉が頻繁に出てきます。ここで整理しておきます。
歴史学者の岡田清司さんによれば「神もしくは聖霊に対し祈願したり、慰め、なだめたりするための、儀礼的な行為」だそうです。今で言う「神」の存在を信じるようになった時代の定義でしょうが、「カミ」に置き換えても当てはまると思います。
ちなみに、「祓(はらえ)」や「禊(みそぎ)」は祭祀そのものではなく、祭祀の一環として行う「祭儀」だそうです。
祭祀場
水辺すなわち川や環濠などから祭祀遺物が出てきても、そこで祭祀が執行されたとは限りません。
秋田さんは、「建物と井戸がセットになって見つかる空間がある、そのあたりに他の祭祀遺構がない場合、建物と井戸は祭祀を行う聖なる空間と言えるだろう」としています。さらに「カミと共に籠るのがマツリの最大の目的なので、掘立柱建物と井戸がセットになっておれば祭祀空間とみなせる」そうです。
この考え方を、建物と溝、建物と水辺に置き換えても成り立つと考えて、本HPでは、このような空間を祭祀場として扱います。
祭祀具
第1章の「希少な祭祀や王権に関わる祭祀まで種々の祭祀具が出土する」のところで、野洲川下流域の拠点集落から出る祭祀遺物を紹介しましたが、全体像を紹介しておきます。

土器

土器は多く出てきます。判断しにくいのは、割れたものが廃棄されたのか、祭祀で使い事後に割って供えたのか? です。祭祀場として明確な場合や土坑に完形土器が入れられている場合は祭祀遺物と推定できます。川沿いや環濠、長い溝で出る土器破片は判断に苦しみます。
土器の出土量がとても多くて判断が難しいので、本HPでは土器はあまり扱っていません。
祭祀場と判定できる場所以外の出土土器で、祭祀に使われた可能性があるのは;
・完形土器
・ミニチュア土器(わざわざ小型のものを作る)
・手づくね土器(手でひねったようにしてつくる簡素な土器)
・貴重な土器(初期須恵器、外来土器)−−祭祀具としてランクが高い
・手焙形土器−−希少性があり祭祀具としてランクが高い?
  (弥生後期に出現し卑弥呼の時代に拡大し、古墳時代には希少土器として古墳に供えられる)

木器

木器も多く出てきます。作りかけの未製品木器も出てくるのですが、製作途中で土坑に入れて一時保管しているのか、祭祀で供献したのか判断が難しいです。棒や板、穴あけ・切り込みなどの加工が施してある木材も判断が難しいです。
高いランクとなる木製の威儀具と威信具について解説します。日常生活で用いる用品でありながら身分の違いを見せるための品物を「威信具」と呼びます。一方、身分の高さを示すための用品や威厳を示すためのもの、例えば儀杖や団扇(うちわ)状木製品、衣笠などを「威儀具」と呼ぶびます(「王権と威儀具」安土城考古博物館)
祭祀場と判定できる場所以外で、祭祀に使われた可能性が高いのは;
・農具(完成品)−−農具は修理して使っており、完形の農具を入れるのは大切な供献品
・形代(かたしろ)−−舟や刀を模した木片
・権力者の威信具木製品−−木製高坏、木製容器など通常は土器使いだけど、身分顕示用に木製で
   作った威信具。下駄や椅子、杓子なども日常使い品ではなく権力者のための威信具。
・祭祀用に塗装した武器−−漆塗りの弓、朱塗りの盾
・装身具−−髪飾り、竪櫛
・やまと琴
・威儀具−−儀仗、団扇把手

石器

土器や木器ほど出土しませんが、実用石器は廃棄か祭祀で供えられたのか難しいです。 玉製品や加工中の未製品が出てきます。玉加工用の工具も含め祭祀遺物としています。
・実用石器−−斧、叩き石、加工具など、砥石
・武器−−石鏃、石剣
・玉加工具−−石鋸、砥石
・ガラス玉
・滑石玉製品−−管玉、勾玉、紡錘車、形代(刀形)、有孔円板
・碧玉玉製品−−管玉、勾玉、未製品
・ヒスイ玉製品
・希少石器−−水銀朱用石杵

銅器

・武器−−銅鏃
・銅鏡
・武器−−銅剣
・希少銅器−−環権(銅製分銅)、小銅鐸

その他

 ・希少品−−人面ココヤシ

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